事業所得における青色申告特別控除
法人化せず、個人事業としてクリニックや病院を営んでいる場合、クリニックや病院の運営で生じた所得は、事業所得となります。青色申告承認申請書を税務署に提出していれば、青色申告特別控除を受けることができます。平成30年度の税制改正で、控除額の変更が決まっていますので、注意が必要です。
平成31年分確定申告まで
平成31年分の確定申告(申告期限は平成32年3月16日)までは、現在の青色申告控除額が適用されます。
(1)前提
- 青色申告承認申請書を提出していること。
- 青色申告承認申請書を提出期限までに提出していること。(提出期限を過ぎると、提出した年の翌年分から適用)
区分 | 提出期限 |
---|---|
原則 | 青色申告の承認を受けようとする年の3月15日 |
新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合) | 業務を開始した日から2か月以内 |
(2)控除額
65万円
(3)要件
以下のすべての要件を満たしていることが必要です。
- (ア)正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
- (イ)確定申告書に貸借対照表及び損益計算書を添付していること。
- (ウ)確定申告書を法定申告期限内に提出していること。
平成32分確定申告以降
(1)原則
平成32年分以降の確定申告では、青色申告控除額が55万円となります。要件等は変更ありません。青色申告控除額が10万円下がった代わりに、基礎控除額が38万円から48万円に増えますので、全体の所得は変わりません。
(例)青色申告控除額控除前の事業所得が1,000万円だった場合(所得控除は基礎控除だけとします)
・平成31年分の課税所得金額
1,000万円-65万円=935万円(事業所得)
935万円―38万円=897万円(課税所得金額)
・平成32年分の課税所得金額
1,000万円-55万円=945万円(事業所得)
945万円-48万円=897万円(課税所得金額)
⇒いずれも897万円が課税所得金額
(2)特例
平成30年度の税制改正では、青色申告控除にもう一つの改正がありました。
- (ア) 要件
現在の要件に加えて、以下のいずれかの要件を満たしていることが必要です。
・電子申告で提出すること。
・税務署に申請をして電子帳簿保存を行うこと。 - (イ) 控除額
65万円
特例の要件はそれほど厳しいものではないので、ぜひ利用しましょう。弊所にご依頼いただければ、特例を利用いたします。
まとめ
- 青色申告控除額は平成32年分から65万円から55万円に減額します。
- ただし、特例を使えば現状と同額の65万円の控除を行うことができます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
(国税庁HP No.2072 青色申告特別控除)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/h32_kojogaku_change.pdf
(国税庁HP 青色申告控除額、基礎控除額の改正のお知らせ)