所得税 2019.2.17

事業所得における青色申告特別控除

法人化せず、個人事業としてクリニックや病院を営んでいる場合、クリニックや病院の運営で生じた所得は、事業所得となります。青色申告承認申請書を税務署に提出していれば、青色申告特別控除を受けることができます。平成30年度の税制改正で、控除額の変更が決まっていますので、注意が必要です。

平成31年分確定申告まで

平成31年分の確定申告(申告期限は平成32年3月16日)までは、現在の青色申告控除額が適用されます。

(1)前提

  • 青色申告承認申請書を提出していること。
  • 青色申告承認申請書を提出期限までに提出していること。(提出期限を過ぎると、提出した年の翌年分から適用)
青色申告承認申請書の提出期限
区分 提出期限
原則 青色申告の承認を受けようとする年の3月15日
新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合) 業務を開始した日から2か月以内

(2)控除額

65万円

(3)要件

以下のすべての要件を満たしていることが必要です。

  • (ア)正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
  • (イ)確定申告書に貸借対照表及び損益計算書を添付していること。
  • (ウ)確定申告書を法定申告期限内に提出していること。

平成32分確定申告以降

(1)原則

平成32年分以降の確定申告では、青色申告控除額が55万円となります。要件等は変更ありません。青色申告控除額が10万円下がった代わりに、基礎控除額が38万円から48万円に増えますので、全体の所得は変わりません。
(例)青色申告控除額控除前の事業所得が1,000万円だった場合(所得控除は基礎控除だけとします)

・平成31年分の課税所得金額
1,000万円-65万円=935万円(事業所得)
935万円―38万円=897万円(課税所得金額)

・平成32年分の課税所得金額
1,000万円-55万円=945万円(事業所得)
945万円-48万円=897万円(課税所得金額)
⇒いずれも897万円が課税所得金額

(2)特例

平成30年度の税制改正では、青色申告控除にもう一つの改正がありました。

  • (ア) 要件
    現在の要件に加えて、以下のいずれかの要件を満たしていることが必要です。
    ・電子申告で提出すること。
    ・税務署に申請をして電子帳簿保存を行うこと。
  • (イ) 控除額
    65万円
    特例の要件はそれほど厳しいものではないので、ぜひ利用しましょう。弊所にご依頼いただければ、特例を利用いたします。

まとめ

  • 青色申告控除額は平成32年分から65万円から55万円に減額します。
  • ただし、特例を使えば現状と同額の65万円の控除を行うことができます。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
(国税庁HP  No.2072 青色申告特別控除)

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/h32_kojogaku_change.pdf
(国税庁HP 青色申告控除額、基礎控除額の改正のお知らせ)

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